東京圏ではそばの注文が8割を超える。そのせいか、うどんの方は市販品をスーパーで買ってきて使っている店も多い。でもこんなことをするとさらにうどん人気が落ちるような気もするが・・・
一番実力がわかりやすいから。
どの店でも大抵一番人気なのがこの「かき揚げそば」。でもいざちゃんと作るとなると恐ろしいほどの手間と材料、そして技術が必要になるというのがかき揚げの怖いところ。
手を掛ければ掛けるだけ美味しくなるし、手を抜けばあっと言う間に不味くなるし。店のやる気とか実力とかを総合的にみるのにはかき揚げが一番いいのです。
寿司屋の玉子とか、パスタ屋のペペロンチーノとか、中華料理屋のタンメンとか。それに当たるのがかき揚げそばじゃないかな。
一般的な蕎麦屋へいくと、「天そば」は「海老天そば」を意味する。しかし立ち食いだとおしなべて「かき揚げそば」が出てくる。海老天を置いている店でさえも、だ。立ち食いの謎の一つ。
このかき揚げ、わたしはパリッサクッの「天ぷらとして美味しいかき揚げ」をいつも望んでいるのだが、汁に融けて味わい深い「天抜きにして美味しいかき揚げ」が好きな人も多い。これがわたしには理解できない。具の食感・味わい、香ばしい香り、どう考えてもこちらのほうが良いと思うのだが。
堂々と手抜きを見せている店が多い。たしかにほとんどの店はかき揚げが作り置きなんだけど、たとえばかき揚げを手元に補充するときに、何十個もかき揚げの入った木箱が、十数個も店の奥に見えたりすると、ねぇ。
いくら店揚げだとはいっても、いかにも朝一番で全部揚げました的に見えてしまっては意味が無いのだ。
麺も同様。注文した直後に、湯にくぐらせてすらいないそばを出されたら、食べる前からげんなりしてしまう。店の人は分かっていても、客はそうは思わないから。
いわゆる、「立ち食いそば協会」にあたるものは存在していないそうだ。
代わりに、目立っているのがチェーン店の存在。
メニューを統一し、仕入れを安定させる目的はわかる。ただどうもその過程で味を落としているような気がしてならない。
美味しいチェーン店はたしかにある。でも結局その店舗の努力だったり、入荷タイミングの問題だったり。チェーン店ということに胡座をかいていては結局それなりでしかない。
立ち食いそば屋は、金額の問題もあってか、店の外観・内装に無頓着な所が多い。とはいえ最近は清潔感溢れる店や、高級感漂う外観な店もあったりして、そういったところには女性客も多い。ひとつのパロメ−ターといえるだろう。
いわゆる駅そばは、ほぼすべてが不味い。美味しいものを作ろうという気概が微塵も感じられない店ばかりだ。
ただこの手の店でも、ひとつだけ誉められる点はある。注文してから出てくるまでの時間は、どの店も非常に早い。
これも立ち食いそばとしての形態のひとつなのだろうが、わたしは認めたくない。あと少しの工夫でもっと美味しく、という工夫をしようともしていないから。
昼間の混雑以外の時間なら、店の人は意外と顔を見ているものだ。昼の常連客はわからなくても、3時や夕方に数回通えばすぐに顔は覚えられる。それほどかように昼とそれ以外の時間の客数差がある。具体的には、12時〜1時の間に一日の4割程度の客がくるそうだ。
そばはちょと軽めで昼食にいい。昼は時間が無い人が多い。昼食代は自腹が多い。考えれば考えるほど、昼に混雑する理由は増える。
コロッケそばは嫌いだ。あんなものを食べるなんて正気とは思えない。
まずフライ衣とめんつゆとの相性が最悪だ。パン粉の衣がつゆを吸ってなんの味気も無い重い固まりが出来る。本来の魅力である歯ごたえも消える。
そして芋とそばの相性も酷い。そばの美味しさと芋の美味しさは、舌触り、食感、香りのどれをとっても完全に相反するものだ。
お互いの魅力をつぶしあう、最悪の組み合わせ。そんなに食べたいのなら別盛りで食べろってのがわたしの意見。